創業ストーリー

事業のきっかけは子育て中の原体験
お互いのニーズがあるのに出会えないのはもったいない

僕は日本で妻と出会い、13年以上日本で暮らしているのですが、この国は最高です。食べ物がおいしくて治安もいい。これからもずっとここで生活したいと思っています。
ただ、改善したいこともあります。例えば、日本のインターネット上では多額の広告宣伝費を持つ大企業のWEBサイトが検索結果の上位を占めていて、優秀なフリーランスや中小企業が埋もれてしまっている。それに、既存の仲介業者は手数料が高く、消費者が誰かプロの手を借りたいと思っても、本当に理想とするプロになかなか出会えません。
日本のサービスレベルの高さは世界で誇るべきものなのに、プロと消費者が効率的に出会えず、結果的に世界各国と比べて生産性が低くなっているように感じます。


こう考えるようになったきっかけは、数年前に子どもが生まれ、子育て中心の生活になったときの体験です。
住んでいたマンションが線路に近かったため、子どもが夜ぐっすり眠れるように、窓を防音ガラスに変えようと、不動産に紹介された業者に見積依頼をしました。しかし、見積書が送られてきたのは1カ月後、しかも価格は400万円と非常に高額。正直困惑しました。

これが本当に自分のニーズに適したサービスと価格なのか分からない。納得できず、事業者の方に片っ端から電話をかけて問い合わせをしました。すると、地元の施工会社が「できますよ」と言ってくれて見積もりしてもらうと、最初に衝撃を受けた見積書と同じ施工方法と建材を使い、工事費込みで40万円でした。なんと10分の1の価格です。おまけにベビーモニターまでつけてくれました。
その施工会社の方はすごくいい方で、そんな方と出会えてうれしかった。同時に施工会社の方も、思わぬルートから集客ができて喜んでいるように感じました。お互いのニーズがあるのに出会えないのは、もったいないことですよね。

また振り返るとこんな出来事もありました。
私の結婚式の時、カメラマンやDJを依頼しようとしましたが、式場から紹介されたプランは、価格とサービスが見合っているとは思えなかった。自ら探してみたところ、意外にもフリーランスとして活動している身近な友達が見つかり、お願いすることができた。お互い納得のいく価格で、結果的にすごくいい式にできました。
 
これらの経験から、ニーズを持つ人とその道のプロがリアルに出会ってサービスを受ける、いわゆる「ローカルサービス」に関して、日本の市場は非常に非効率だと思いました。
質の高いサービスを提供している個人や中小企業が多いにもかかわらず、市場の透明性が低く、プロと見込み客が繋がりづらい。そこで、この市場を見える化したいと考えたのです。そうすれば、ニーズに合ったプロから、適正な価格で優れたサービスを誰でも簡単に受けられるようになる、と思ったからです。
 
最初は消費者側のプロダクトで、この問題を解決しようと考えました。しかし市場を調査し、多くのプロの方々と話す中で、集客や生産性などプロ側の課題が大きいと感じ、解決するためにはプロのためのプラットフォームが必要だと気づきました。
ジョーダンインタビュー写真

知り合い頼みの営業活動から徐々に事業が軌道に
2021年には大手企業との提携もスタート

そうして2015年、前職で同じ金融業界に勤めていたジェームス(現COO)と共に創業、2016年8月に「ゼヒトモベータ版」の提供を開始しました。当初は、提供エリアは東京都内のみで、英会話や家事代行などカテゴリーを絞っていました。最初は登録してくれるプロもなかなかおらず、自分の人的ネットワークを駆使して、頼み込んで登録してもらっていました。依頼が来ると、ゼヒトモの営業担当者がその依頼を受けてくれる業者を電話で探してつないでいた時期もありました。IT企業とは思えないですよね(笑)そこからプロダクトの改善を重ね、2017年に正式にサービスとしてリリースし、同年12月には対象エリアを全国47都道府県へと拡大しました。

さらに2018年からSEOに力を入れ始め、カテゴリー別・エリア別のランディングページを拡充することで、依頼がどんどん増えていきました。カテゴリーの数も増え、現在ではカメラマンやヘアメイクなどのイベント関連から、パーソナルトレーニングやピアノレッスンなどの習い事、エアコンクリーニングや不用品回収などの暮らし関連のカテゴリーまで、多岐にわたっています。

こうしてプラットフォームが拡大していく中、新たな課題が出てきました。依頼があっても提案がない、という供給不足が顕著になってきたんです。そこで、2018年末にプラットフォームを大きく改善し、AIを活用した応募自動化機能「スピードマッチ機能」をリリースしました。

従来はプロが自分で依頼を確認して、手動で応募・提案をするのみでしたが、スピードマッチ機能を使うと、依頼内容に基づいてAIが自動で最適なプロを選び、自動で応募(提案メーセージを送信)します。プロには、登録時に仕事や提供サービスの種類や時間、場所、希望見積もり額などの条件を設定してもらいます。例えばパーソナルトレーニングなら、依頼者の自宅と距離が近いプロがお互いにとって都合がいい。これに対してリフォームの場合は、距離よりも価格やサービスの内容が重視されるので、口コミ情報なども活用して要件に合うプロをAIが選定し、応募を自動化します。

AIを導入することで得られる効果は、最初は正直未知数でしたし、組織体制も大幅に見直す必要があったので大きな決断でした。しかし結果として、依頼と提案のバランスは大きく改善、平均3〜4件の提案が依頼者の元に届くようになりました。現在では、プロの数も増えてきたため、最大で5件の提案が届くようになっています。これは比較検討するのに最適な件数です。そしてプロ側も、業務に追われて応募ができない状態から脱却できます。この機能では、「1カ月1万円分まで」と上限を設定すれば、その範囲内で自動応募してくれます。予算もコントロールでき、案件を取りこぼすこともなくなるので、リリース以来、皆さまから大変喜ばれています。

この機能が功を奏したこともあり、依頼数・登録プロ数ともに順調に伸びていきました。2020年には週刊東洋経済『すごいベンチャー100』にも掲載いただき、少しずつ事業が軌道に乗ってきた感覚がありましたね。
2021年には三菱地所様との協業で、オフィスにいながら、ゼヒトモに登録されているプロの方々のサービスを受けられる事業がスタートしました。今後もより一層、プロのサービスを受けられる機会を広げ、出会いや繋がりを創っていきたいと考えています。
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創業期のシェアオフィスでの一枚

サービスのEC化を目指して
フリーランスや中小企業などプロの仕事を盛り上げたい

私たちはタウンページ*をオンライン化したようなサービスとして、ゼヒトモが根付くことを目指しています。さらに将来的には、AIスピーカーに向かって「ゼヒトモ、お風呂のクリーニングをお願いして」と声をかけるだけで、最適なプロがすぐ駆けつけてくるようなサービスを目指しています。サービスのEC化ですね。「声をかけたら、パッとサービスを受けられる」ようになれば、高齢者をはじめさらに暮らしやすい社会になると思うからです。

日本のローカルサービス市場は30兆円前後あり、これは外食産業と同程度の規模なのですが、まだまだ未開拓で、オンラインでの成約率は2.5%ほどしかありません。オンライン化が進むことで、フリーランスや中小企業などのプロの仕事をさらに盛り上げることができます。

さらに国内の労働力人口が減っている中で、プロの方々のビジネスを支え、集客するプラットフォームを提供すれば、生産性向上につながるはずです。多様な働き方の実現にも貢献でき、私たち生活者も暮らしやすくなる。そうした未来に向けて、ニーズを持つ人と高い専門性を持つプロとのつながりを、より深く、より効率的にし、社会を変えていきたいと考えています。
 
 
 
*「タウンページ」は日本電信電話株式会社の商標です。
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Zehitomo CEO
ジョーダン・フィッシャー
1986年、ニューヨーク生まれ
2004年、南カリフォルニア大学に入学。コンピュータサイエンス専攻
2008年、大学を卒業し、東京丸の内オフィスのJPモルガンへ入社。債券テクノロジー部でプログラミングやプロジェクトマネジメントを担当。数年でチームをまとめるまでになり、2014年にはヴァイスプレジデントに昇進し、電子取引セールストレーダーとなる
2015年、共同ファウンダーのジェームズ・マッカーティーと意気投合し、Zehitomoを立ち上げる
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